2022年4月13日 (水)

マイカー事故と会社の責任

 時々、お客様から、「職員がマイカー(原付の場合が多い)で通勤してきて、そのまま業務に使用しているのだが、どう考えればよいか」との問い合わせがあります。

 黙認も含めて許可している場合は、一般的には私用中の事故についても企業も責任を問われる可能性があるので、規程を作成し、許可制を導入するか、当該車両を借上げるなどのアドバイスをさせていただいております。

 第一法規の「こんなときどうする自動車事故=会社の対応と責任=」より、その参考になる判例を解説した文書を一部抜粋しましたので、ご参照ください。

 

●マイカーで帰宅途中に起こした事故について、会社の運行供用者責任が認められた判例(昭和52年12月22日最判)

 社員が会社の工事現場からマイカーを運転して帰宅する途中で事故を起こした件について、最高裁は、当該車両が業務のため使用されることにつき、平素から会社の概括的承認または特別の指示があり、事故当日の利用も会社の指示に基づくものであることから、会社の運行供用者責任を認めた。

 

●マイカーで出張した社員の起こした事故について、会社の使用者責任が否定された判例(昭和52年9月22日最判)

 社員が会社から命じられた出張にマイカーを利用して出かけ、その帰途で事故を起こした。会社は社員に対し、マイカーによる通勤や出張を原則的に禁止しており、マイカーを利用する場合には会社の許可を得るように指示していたが、社員は許可を得ていなかった。最高裁は、会社が社員に対して本件出張につき自家用車の利用を許容していたことを認めるべき事情がないことから、会社の使用者責任を否定した。

 

この両判決を比較すると、会社が社員にマイカーの業務への利用を許容していたか否かが重要なポイントと考えられる。したがって、会社が責任の発生を回避したければ、日頃から社員に対してマイカーの業務への利用を禁止することはもちろん、後日「黙認」していたといわれないように、これを厳格に運用しておくことが肝要である。

2021年11月25日 (木)

登録ヘルパーの自転車事故と対応する保険

 これまで勉強会などで、保険会社各社が登録ヘルパーの自転車事故について<自転車保険>で受け付けるケースが出てきたことをお伝えしてきましたが、より正確な情報を得ましたので、ご提供させていただきます。すべての保険会社に確認したわけではありませんが、多かれ少なかれ同様な考えだと思います。
 結論から申し上げますと、事故の発生時刻が移動時間中か否かで、受付の対象となるか、ならないかが判断されるということです。
 厚生労働省が作成した添付文書にあるように、ヘルパー自身が自由にできる時間が保障されている場合は移動(労働)時間とはみなされません。その間に発生した事故は日常生活上の偶然な事故となるため、<自転車保険>の対象になるというわけです。
 逆に言えば、業務遂行性(業務との関連)が認められず、事業所が加入している<賠償責任保険>では対象外となります。
 移動時間に該当するかどうかは、ヘルパーや事業所によってそれぞれの事情もあるようですが、有責かどうかを判断する大事なポイントになりますので、保険会社も当事者などに詳細をお聞きすることになります。
 ちなみに、<自転車保険>では商品によっては示談代行のサービスがありますが、事業所が加入している<賠償責任保険>には示談代行サービスがありませんので、当事者間で話し合いをしていただくことになり、管理者が大変苦労されることが多いのが実情です。

2021年11月13日 (土)

介護現場の個人情報保護Q&A

Q1 サービスを開始するとき、手が不自由だが判断能力が十分である利用者の場合は、その同意を得たうえで第三者が手を添えて個人情報利用の同意書に署名(サイン)をさせてもよい。

2021年11月 7日 (日)

<自転車保険>の補償内容を点検しましょう!

ポイント② 個人賠償責任保険の補償額が1億円以上のプランを選びましょう


 自転車事故を起こすのは、勤務時間中だけとは限りません。また、同居のご家族が起こす場合もあります。
 昨今の自転車事故の裁判例を見ると、非常に高額な賠償金を認めた判決が増えています。そして、賠償能力がないために、自己破産をする人も少なからずいます。
 日頃自転車に搭乗する機会の多い皆さんが、自転車事故の加害者になるリスクは決して低くはありません。万が一事故を起こされても、自分や家族を守るために、充分な補償を確保しておきましょう。
 割安な保険料の商品には、補償の低いものもあります。この機会に、保険証券などで確認しましょう。

2021年11月 3日 (水)

「次は気をつけましょう」は改善策ではない!

仕事柄、毎日のように様々なお客様の「事故報告書」を拝見いたします。

その際気になるのが、「再発防止のための対策」欄に、「次は、気をつけましょう」と書かれて、いくつも捺印がされている事故報告書です。

上記のような「改善策」は、ミスを前提としないものなので、100%再発を防止することは難しいでしょう。

もちろん、次は気を付けなければならないのですが、人間はミスをする動物です。

かく言う私も時々ミスをして、お客様にお叱りを受けておりますから、偉そうなことは言えないのですが、研修の中では「ミスを前提」とし

て、損害を軽減させる改善策の策定の必要性をお話ししております。

さらに気になることとして、訪問系の事業所の「サービス提供記録(訪問記録)」の「特記事項」欄の記述内容です。

事故の受付のため、事故日当日の写しをご提供いただいておりますが、十中八九、事故のことが記載されておりません。

立派な「ヒヤリハット」ですし、その日一番の「特記事項」であるはずなのに。

受付をした事故の中には、物損事故の現場で「利用者から『いいよ』と言われたため、あえて記載しなかった」ようですが、後日、利用者から

事業所に賠償請求の電話が入りました。

実は、利用者の「いいよ」は「元に戻してもらえば、いいよ」の意味だったのです。

その時初めて事故のことを知った事業所は交渉の当初から劣勢に立たされ、妥当な賠償金額を大きく上回る負担を余儀なくされた例もありま

す。

事業所が先手で対応できるようにするためにも、未遂事故(例:利用者宅の家財を落としたが、たまたま損害は発生しなかった)も含めて記入

することをおすすめしております。

 

●リスクマネジメント研修のお申し込み、ご相談は

介護研修講師バンク https://kaigo-ojt.com/ へ

 

事例検討も大切ですが……

過去に受講された研修の内容をお聞きすると、「事例検討」とお答えになる施設や事業所が少なくありません。

私の研修でも、事例検討のご要望があれば行いますが、施設や事業所に法律上の賠償責任が発生しない事例を取り上げます。

介護の事故事例を紹介した書籍を読まれた方はご存知だと思いますが、施設や事業所に法律上の賠償責任が発生するケースがほとんどです。

そうした事例を取り上げた場合、事例を読んだだけで、検討する前から責任があると判定してしまうきらいがあります。

そこで、あえて責任が発生しない事例を取り上げ、判定のポイントをより理解していただくように配慮しています。

特に事例検討のご要望がなければ、<KYT>のプチ体験を行っていただいております。

<KYT>をご存知でしょうか。危険予知トレーニングのことですね。

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上のような介護シーンのイラスト(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社「介護福祉施設・事業所 危険予知訓練」より抜粋)を見ながら、

「危険要因」と「想定される事故」を書き出していただく作業を通して、より重大な損害を発生させる「危険要因」を見落とさないよう、

不断に「気づきの感性」を磨いていただくことをおすすめしています。

 

●リスクマネジメント研修のお申し込み、ご相談は

介護研修講師バンク https://kaigo-ojt.com/ へ

 

謝ることから始めてください!

なぜなら、誤ったからといって、法律上の賠償責任が発生するわけではないからです。

サービス提供中などに事故が発生した場合、法律上の賠償責任は、

①利用者や第三者に具体的な損害が発生していること

②皆さん方のサービスの提供などに過失(不注意)があったこと

③皆さん方のの過失によって利用者などの損害が発生したことの因果関係が認められること

の3つの条件を満たして、初めて発生するものだからです。

ただし、「事故を防ぐことができず、申し訳ございませんでした」など、誤り方には誤解を招かないような工夫が必要です。

ご自身が被害者の立場だとして、まずお詫びを入れられた場合と、言い訳から始まった場合とでは、心理的に多少異なりますよね。

勉強会の参加者の中には、「以前の勤め先では、絶対誤るな!と言われていました」などという方もいらっしゃいました。

皆さんの職場でも、普段に認識を共有しておかれてはいかがでしょうか。

 

●リスクマネジメント研修のお申し込み、ご相談は、

介護研修講師バンク https://kaigo-ojt.com/ へ